+Be there−前編− +              





「話がある。」

そう言ってプリベンター内の会議室にデュオを呼び出した。

黙って着いて来るデュオは何か神妙な顔付きをしている。

そしていつものおしゃべりは鳴りを潜めている。

(警戒されるのも無理はない……か)

ヒイロは今まで自分から任務以外でデュオを呼び出した事もなければ話し掛けた事もない。

そんな奴にいきなり話があると言われて何も思わない訳がないと自分でも思う。

会議室のドアを開けデュオを先に通し、続いてヒイロも中に入り後ろ手でドアを閉めた。

「で、話って何だ?」

気になっているのかデュオの方から先に口を開いた。

「デュオ。」

名を呼ばれ緊張しているのかデュオがゴクっと息を飲んだ。

「好きだ。俺と付き合ってほしい。」

生まれて初めて人を好きになり、生まれて初めて告白した。

だが何をどう言えばいいのかわからず、ただシンプルに思いを伝えることになった。

まさか告白されるとは思ってもみなかったデュオの顔は驚きを隠せずヒイロを凝視していた。

「本気か?」

「ああ。」

「冗談じゃなくて?」

「ああ。」

何度も確認を取っては驚き、そして神妙な表情を繰り返す。

そして少し黙ったまま腕を組み動かなくなること数分。

「少し……考えさせてくれないか。」

暫く待って返ってきた答えは何とも取れない言葉だった。

その曖昧な返答にヒイロはわかったとしか言えなかった。















いつ好きになったのかもわからないし、決して一目惚れなんかじゃない。

むしろ初めはその存在を鬱陶しく感じていた。

だが戦火を共にしたその相手は、何時しかなくてはならない存在になっていた。

気がつけばデュオの事を考え、気がつけばデュオを目で追っている。

彼が傍にいる時は心が弾みもっと一緒にいたいと思う。

初めはこの感情が何なのかわからずイラつきそして戸惑った。

デュオにきつく当たった時もある。

だがこれが「人を好きになる」という感情だと気づいた時、全ての行動に合点がいった。

デュオが好きだから悩み、その気持ちを持て余していたからこそつきつく当たったのだと……。

気づいてしまえば後は簡単だった。

デュオという人物に向かって気持ちが向かうのを止めることもなく関係は急速に変化した。

自分の言動や行動一つ変えることでデュオが喜んでくれる。

何故もっと早くこの気持ちに気づかなかったのかと後悔したくらいだ。

もっとデュオの事を知りたい。

もっと一緒にいたい。

もっと側にいてほしい。

そんな気持ちが心の中を占領し始めたら後は行動に出るだけだった。

デュオに思いを告げた。

告白の台詞は以前に女子職員に言われた言葉を使用した。

何をどう伝えたらいいのかなんて知らない。

ただデュオに伝わればよかった。














あれから2日が経ったがまだデュオからの返事はない。

その間に顔を合わす事はあったし、話をする事もあったが特にデュオに変わった様子はない。

あまりにも普段通り接するデュオに、本当に自分の気持ちが伝わっているのかと疑いたくなる。

だがあの時考えさせてくれと言ったのは間違いない。

(期限でも決めておくんだったな……)

このもどかしい思いを自分はいつまで持ち続ければいいのか……。

書類を持って廊下のど真ん中で固まっていることなんか関係ないと言わんばかりに自分の世界に浸っていた。

ハッと我に返り角を曲がろうとした時、デュオの姿を見かけた。

これはチャンスだ。

こんなもやもやとした気持ちを早く晴らすためにもデュオの返事が聞きたい。

そう思い声を掛けようとしたが、デュオが一人ではない事に気が付いた。

慌てて角に隠れ気配を消す。

(何故隠れる必要がある?)

何事もなく通り過ぎてしまえばよかったと思ってももう遅い。

(仕方ない、奴らが去るのを待つか)

だが一向に二人が去る気配はなく反対に話し込んでいる。

「ずっと前から好きだったんです。」

好き、という言葉にピクっと反応をしてまった。

恋愛に疎い自分でもデュオが告白をされているのがわかる。

「もし今誰とも付き合ってないんだったら……私と付き合ってほしいんです!」

その真剣な言葉と雰囲気にデュオがどう答えるのか……。

自分の時は驚愕と困惑を交互に繰り返していた。

心臓の鼓動がやけにうるさい。

そっと顔を出しデュオの表情を窺い見る。

……笑っている。

デュオが嬉しそうに笑っている。

自分の時は困った表情をしていたのに、彼女の時は嬉しそうに笑っていた。

(どういう事だ?)

明らかに自分の時とは違う表情を見せている。

ツキンと心臓に痛みが走る。

早くこの場を離れたいと脳が告げている。

頭を掻きながら照れた様に接するデュオをこれ以上見ていたくない。

彼がどんな返事をするのかなんて聞きたくない。

自分以外の奴と一緒にいる所なんて見たくない。

どうやってその場を離れたのか覚えていない。

気がついた時には自分のデスクに戻っており、クシャクシャに丸められた書類がデスクに置かれていた。











あとがき
ヒイロさん、人生初の告白に挑む!な話です。
デュオに好かれてると思ってたら実はそうじゃなかった?みたいな感じです(笑)
表SSは久しぶり過ぎて上手くまとめれなかったので続きものになっちゃいました(^-^;)
もはやイチニじゃない気がしてきました。1+2みたいな……。
ヒイロの恋の行方は?デュオの告白の返事は?
後編に続く!

2007.07.07     葵